Lift Up × Low Down Audi Q2で比較試乗。|makeover

モディファイの第一歩は足回りで間違いない。 SUVの場合、定石とされるローダウンのほかに、 リフトアップも選択肢に入ってくるだろう。 ローダウンとリフトアップの違いを乗り比べて検証する。

 

リフトアップとローダウン、 ベストチョイスは一体どっち?

SUVを購入して「これからどんな風にチューニングしよう?」と悩んでいる人も多いはず。たとえば、アウディQ2のようなモデルなら、オフロードをしっかり走れるような力強さを見せるために、リフトアップしてオールテレインタイヤを履かせてもいいし、よりスポーティな印象を高めるために、ローダウンしてタイヤをインチアップするのもいいかもしれない。「見た目はどちらもかっこよくなりそう」と想像はできるが、実際にやってみると、普段運転する時に「この乗り味は、毎日乗るのはツライ……」ということにならないだろうか? そう考え始めると、実際にチューニングするかどうか二の足を踏んでしまう。「それなら実際に試してみよう!」ということで、横浜市港北区にある「メイクオーバー」へお邪魔することに。アウディのスペシャリストであるメイクオーバーで、アウディQ2に2パターンの足回りを組んでもらうことにした。

最初に試乗したのは、オールグラウンドのスプリングを使ってリフトアップし、かつタイヤはBFグッドリッチ オールテレーン T/A KO2(前後ともに215/65R16)を履かせたもの。実は、私は、オールテレーンタイヤを履いたクルマに乗るのは初めて。ゴツゴツしたタイヤのトレッドを見ていると、「ちゃんとグリップするのかな?」と少し不安になる。早速試してみようと、クルマに乗り込んでみると、視界が良いことに気がついた。ノーマルと比較すると、車高が30㎜程度高くなっているので、まわりをよく見渡せるようになっている。これだけでも、ちょっと安心して運転することができそうだ。  走り出してみると、まずはオールテレーンタイヤ特有の「ウォンウォンウォン……」というロードノイズに面食らう。しかし、Q2は元々静粛性が高いモデルなので、「うるさい」というまでには至らず、気になったのは最初だけで、いつの間にか慣れてしまった。

そして、とてもいい意味で裏切られたのは、ハンドリングが思ったほど悪くならなかったこと。ノーマルのQ2は、元々キビキビ走るモデルだが、そのフットワークがほとんど阻害されず、交差点などもストレスなくサクッと曲がれる。しかし、横グリップはしっかりしているものの、縦グリップはさすがにノーマルには劣るようだ。発進する時に、タイヤが滑るとまでは言わないが、タイヤがギュッと路面に押し付けられてグリップするまで少しだけタイムロスがある。また、停止する時も、ノーマルと比べると少々止まりにくいので、そもそも制動距離は延びるものだと思って運転した方がいいだろう。それ以外は、タイヤの柔らかさもあって乗り心地はいいし、「車高が高くなっているから、もっとグラグラするのかな?」と思っていたが、意外にもロールを感じることもなく、安定して走ることができた。オフロードに行かず、オンロードでドレスアップ用に履くだけでも十分に満足できると思う。

次に試したのは、MSSのスプリングでローダウンし、ピレリPゼロを履かせてインチアップしたもの。先ほどとは打って変わって、見た目からいかにも走りの良さを感じさせるオーラを感じる。タイヤの厚みがだいぶ薄くなっているのを見て、「これは乗り心地は硬いだろうなぁ」と簡単に想像できた。走り出してみると、やっぱり硬い!しかし、冷静になって観察してみると、路面の凹凸を乗り越えた時など、「ドスン」と入ってくる衝撃のあとは、振動がすぐに収まるので、硬さがそこまで不快には感じなかった。実は、ノーマルのQ2も最初から乗り心地は硬めで、特に低速で走っている時には、プルプルとした細かい振動が伝わってくる。しかし、今回の足回りの変更でその振動がうまく吸収されているらしく、低速で運転するシーンでも気にならなかった。ストップ&ゴーが多い街中では、特に低速での乗り心地は大切なので、むしろこのチューニングは功を奏しているとも言えそう。また、MSSは、ダンパーを変えずにローダウンさせることができるので、なんと電子制御も生きている。そのため、ドライブモードが選べる車両なら、その機能はそのまま使うことができるので、コンフォートにしたり、スポーツにしたり、さらに自分好みの乗り味を探すのもいいと思う。そして、お待ちかねのハンドリング! もはや「Q2 RSかな?」と笑ってしまうくらい、驚くほどクイックになっている。ちょっとハンドルを切っただけで、俊敏に右へ左へ走るので、よりクルマが軽やかになったように感じる。こういったスポーティな走りをするクルマが好きな方にとっては、大好物なチューニングになっていると思う(私もそう)。

これらのチューニングに対して、「見た目が良いだけでは?」と思っていたのが申し訳なくなるくらい、どちらのチューニングも日常域でもしっかり使えるし、むしろ走行性能がアップする部分もあったりと、印象がぐんと良くなった。特にアウディは、すっきりとしたクリーンなイメージがあって、チューニングした時のイメージが湧きにくかったが、「こうやって足元を変えるだけでも、自分の好みを最大限に反映できるんだな」と感じた。

 

オールグラウンドのリフトアップスプリングは、リフトアップ量を純正ショックアブソーバーのストローク量を使い切らない程度に留めるため、乗り味がほとんどスポイルされないのがメリットだ。

 

MSSはスプリングとアジャスターがセットになっている。車高調キットほどの調整幅はないが、アジャスターを使って車高を変えることができる。ショックアブソーバーの電子制御機能はそのまま使える。

テスターは伊藤 梓。現在はジャーナリストとして活動する傍ら、イラストレーターとしても活躍。また愛車のマツダ・ロードスターでパーティレースに参戦した経験もある。@AzusaIto2

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問い合わせ/メイクオーバー ☎045-620-0887 www.make-over.jp

掲載:Premium SUV Stylebook.2021 2021年3月31日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo_中島仁菜 NAKAJIMA NINA

text_伊藤 梓 ITO AZUSA