A BBS STORY|と或る、BBS物語。

BMW史に欠かせない存在となった鈴木“BOB”康昭。 胸を張って“改造屋”と言い切り、BMW小僧を貫きながら、 今や国内最高峰のレーシングチームを持つまでに成長した。 そんな彼の活動、BMWへ想いを通して紐解くBBS物語。

 

僕が惚れ込んだBMWの、 その足元にはいつもBBSがいた。

今や全国5店舗を展開するようになったスタディには、いつもおびただしい数のアフターホイールが、壁面といわず床といわず所狭しと並べられている。BBSホイールは、その中でもいつも中心的な存在だ。 「店をやるようになって、BBSに対するリクエストの多さに驚いた。始めた当初は(1995年創業)、販売するホイールの半分以上はBBSだったんじゃないのかな」。 BMW用ホイールなんて、今よりずっと少なかった時代だ。ヨーロピアンチューナー勢を除けば、ほぼBBSの独壇場だった。最初から決め打ちで飛び込んでくるユーザーが後を絶たない。だが、そうやって世のラブコールを体感してきた男こそ、他の誰よりもBBSに魅せられていた。BMW専門店であるスタディを立ち上げ、それを日本一の規模にまで拡大させ、最高峰のレースシーンにまで打って出た。創業者にして現会長の鈴木“BOB”康昭である。

子供の頃、レースシーンで活躍するBMWに魅せられた。時は1970年代後半、今よりヨーロッパが遠い時代だったが、穴が空くほど自動車雑誌を眺め、レーシングカーの勇姿を脳裏に焼き付けた。その当時からずっと足元を支えていたのがBBSだった。BMWとBBSは互いに手を取り合って、究極を目指してきたことを知った。あらゆるモータースポーツに果敢に挑戦し、その技術蓄積を持ってロードカーを生み出す。そうして生まれる一連のBMWは、ゆえにBBSのアイコン的存在であるメッシュデザイン(クロススポーク)との親和性が高かった。

「僕の中では、BBSはもう絶対的な存在。僕が憧れていたBMW像の中に、潜在的に組み込まれている。パフォーマンスにしてもマッチングにしても、常に間違いがない」。そんな鈴木にとって、今につながる出会いは2015年の東京オートサロンにあった。参考出品されていたREーV7に一目惚れしたのだった。7本のクロススポークは決して奇をてらうデザインではないが、長年、BBSを見続けてきた彼の目には、実に魅力的に映ったという。 「僕が憧れた昔ながらのBBSっぽさと、最先端の技術を駆使したイマドキのBBS。両方が混ざったような独特の魅力を感じたんです」  当時のRS(現:SUPER RS)やLM勢など細かいクロススポークを持つ往年の姿形と、RI‐Dに端を発するモダンなクロススポークが、RE‐V7には融合されていたという。そうした意味でこの7本クロススポークは「BBS自身が、BBSをオマージュして作った」作品であったのかもしれない。

「ホイールで一番カッコいいのは、やっぱりセンターロック。これをRE‐V7で見てみたいと思った。当然、レーシングカーにしか履かせることはできない。“スーパーGTで使いたい!”と、気がつけば口が勝手にそう動いていましたね」 。鈴木はチーム・スタディを立ち上げ、2008年からスーパーGTに参戦していた。事実上、BMWのワークスと認められた2016年からは、マシンをM6 GT3にする予定だった。スーパーGT(GT300クラス)は、世界のGT3レースの中では特殊なルールを持つ。レギュレーションで定められた範囲内であれば、タイヤやホイール、ブレーキパッドなど純正品以外へ交換することが認められている。だからこそ熾烈なタイヤ戦争を巻き起こしていることは有名だが、同時にホイールにとっても闘いの場だった。

鈴木の熱意に対して、BBSジャパン側も賛同して、話はトントン拍子で進んだ。M6 GT3の足元にはセンターロックのRE‐V7が収まることになったのだ。市販品が出る前の、プレゼンテーション的な側面もあったのだろう。BMWとBBSがずっと昔からやってきた「すべてはレーシングカーから始まる」形が実現された格好である。 「承認を得るためBMWモータースポーツ本社に送ったら、重量こそわずかに純正より重かった。でも、強度や剛性などあらゆる性能が純正を凌ぐことがわかった。僕らのほうで純正品との厳密な比較はしていないけれど、これはタイムアップに大きく貢献する。何より接触やバーストの危険性をはらむ実戦の場合、この信頼耐久性は大きな武器となる」。

デビューイヤーとなった2016年に続き、翌17年、そして今シーズンを含めて3年もBMWチームスタディはBBSと共に闘った。それは鈴木が幼少期に憧れた「BMW×BBS」像そのものだったと言える。幼少期の初恋を、彼は数十年の時を経て実らせたのだ。なお、デビューイヤーには、ストリート向けの5ホール、20インチがスタディ専売モデルとして限定販売されて、M3/4のユーザーへ届けられた。

レーシングカーへの投入に始まり、その後の実験的限定モデルを経て、2020年末、RE‐V7はいよいよ市販される。まずは18インチから始まり、その後19インチも拡充される予定だ。その中でいかにBMWとマッチングさせてくるのか。BMWチーム・スタディとともに育ってきた銘柄なだけに、BMWに対しての回答に注目される。スタディ専売モデルだった20インチの復活だってあり得るかもしれない。BMWチーム・スタディがRE‐V7で闘っている間、BBSはフルオートメーションの塗装工場を完成させ、最新鋭の1万2000t鍛造機を導入した。そうした意味でも市販型RE‐V7は「満を持して発売」という言葉がこのうえなく似合う。

「来年か、再来年になるか、今度はM4 GT3(G82)でスーパーGTを闘いたい。その時になっても、できるならBBSを履かせたい」。

RE‐V7プロトタイプの初公開から5年近く。「BMW×BBS」のストーリーは、まだ終わりを迎えたわけではない。鈴木は今年で52歳。50周年を迎えたBBSと同世代同士、手を取り合い苦楽をともにしてこれからも歩み続けていく。

(文中敬称略)

 

BMW Team Studie 代表 鈴木“BOB”康昭

スタディ創業者にして現在は同社会長を務める。幼少期に憧れたのはモータースポーツで活躍するBMWの姿だった。その頃の情熱を糧にBMWチーム・スタディとしてモータースポーツ活動を展開する。スーパーGTを筆頭に、スーパー耐久、ブランパンGTワールドチャレンジ・アジアなどあらゆるカテゴリーに参戦してきた。スーパーGTを闘うM6 GT3にBBSを装着するほか、愛車(もちろんBMW!)だって率先してBBSを取り入れる。

鈴木は70年代後半から80年代にかけてのBMW×BBSのコラボに魅了された。BMW製レーシングカーにはBBS固有の繊細なメッシュパターン(クロススポーク)が似合う。当時、BBSが装着されていたE30などには、きっちりBBSのロゴが明記されていた。これら往年のBBS像は、RS(SUPER RS)やLM、LM-Rといったロングセラーモデルとして現代も生き長らえている。スタディではこんなクラシックな世界にも力を入れていくという。

チームスタディが続けるSUPER GTへの挑戦。

2016年からスタディはBMW公認チームとして「BMWチーム・スタディ」の名でスーパーGTに参戦。参戦マシンとなったM6 GT3のホイールは純正ではなく、BBS RE-V7が装着された。BMW公認チームがBBSのプロトモデルを履いて闘う。鈴木が幼少期に憧れたコラボを、自らで実現した格好となった。BMWチーム・スタディのM6 GT3は2016、17年の2シーズンを闘い、2020年に戻ってきた。RE-V7は3シーズンを共にしたのだ。

 

先行開発的な役割を担った特別なレーシングホイール。
RE-V7 Racing

BMWチーム・スタディのM6 GT3にはBBS製RE-V7が装着された。レギュレーションに合わせて18インチ(前後13.0J)となり、当然ながらセンターロック。7本クロススポークとセンターロックは親和性が高い。実際、BMWモータースポーツ社もその性能を認めている。3シーズンを共に過ごしたチームやドライバーの実感は、とにかく剛性が高く丈夫で、抜群の信頼感があること。接触やコースアウトしても破損したことがない。

ストリート向けRE-V7 いよいよ本格的に発進する!

東京オートサロンでの参考出品、スーパーGTへの供給、そしてスタディ専売モデルとしてBMW用20インチの限定販売を経て、いよいよRE-V7はカタログモデル化される。基本的な造形はプロトタイプを踏襲する。7本クロススポークを持つ鍛造1ピースモデルだ。サイズは18インチからスタートし、追って19インチへと拡がる予定となる。フラットタイプとラウンドタイプという2種類のフェイスが用意され、カラーリングは4色がそろう。

 

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問い合わせ/BBSジャパン ☎03-6402-4090 bbs-japan.co.jp スタディ東京 ☎042-367-5301 www.studie.jp

掲載:BMW STYLEBOOK. 2020年12月7日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)
PHOTO:渡部祥勝/南 博幸/BMW AG
TEXT:中三川大地