トップ・ブランドの苦悩。|BBS STORY_02|変わらないために、変えていく。Part2

BBSホイールは常に定番にして最高峰だった。 誰もが皆、絶対的王者「BBS」を前にして、 それとは違う、自分たちの道を模索してきた。 定番がいるからこそ個性が生まれる。 それがアフターホイール進化の、ひとつの歴史だった。
そんなBBSが、リ・ブランディングをするという。BBSはなぜブランディングにメスを入れるのか。何を変え、そして何を変えないのか。今、まさに生まれ変わろうとしているBBS。彼らの苦悩と模索、近未来のBBSに迫る。

 

いつの時代も誰にとっても “憧れの存在であること”。
そういうブランドでなければ、 BBSだなんて胸を張れない。

 

「我々が守り続けてきたもの。クロススポークに象徴される設計技術に始まり、それを型鍛造製法で具現すること。時に優れた切削加工や塗装技術が、製品力を高めることになるでしょう。そうした伝統を活かして、次のステージへ立ちたい」

それは昨今のモビリティーの潮流とも一致する。今やスポーツカー専売ブランドであっても、そのブランドをひっさげたSUVが世に提案され、しかもヒットする時代だ。そのSUVが支持される理由として、いずれもその芯にはブランドごとのアイデンティティーが潜んでいるからだろう。伝統を守り続け、それを訴えることはブランディングとして大切なことだが、そこに立ち止まっていては未来がない。同じようなことを、BBSはやろうとしているのだと思う。

「今までBBSはスポーツカーやセダンなどに似合うような、スポーティーなイメージで括られてきました。今後は世界的に主流となったSUVカテゴリーや、来るべきEV時代に向けても積極的にBBS製ホイールをマッチングさせるべきだと考えています。SUVというのは高重量であり、ハイブリッドやEVなんてさらに重くなる。なのに、ひと昔前のスーパーカーのような出力性能ばかり。と、ホイールにとっては厳しい条件ばかりが並ぶのなら、だからこそ我々の技術が生かされるのだと思います」

昨今、若者に限らずこの一般社会においてクルマ離れが叫ばれている。メルセデス・ベンツは「CASE(ケース)」と謳って、コネクテッド、自動運転、シェアリングとサービス、EVを推進すると発表した。その先にはEVによる究極の自動運転化社会が待っている。といってもスポーツブランドのメルセデスAMGは今でも継続的に活動して、あらゆるアプローチでモビリティーの楽しさを訴え続けている。

BBSもまた同じ、共存共栄の思想なのだろう。デザインと設計、そしてマッチング、そうした面で新しい時代を見据えた展開を考えている。BBSは昨今のモビリティーのあり方、その動向だけを捉えて、クルマが単なる白物家電化したり、公共交通機関のような存在になると悲観などしてはいなかった。クルマの性能を確実に向上させ、より個性化を図り、カーライフを豊かにしてくれるような存在が必ずや必要とされる。そして「BBSはそういう存在であるべきだ」と。AMGだってバブル時代に羨望の眼差しを向けられた黒塗りコンプリートカーのままだったら、今の時代、もはや淘汰されていたのかもしれない。

「新生BBSは、もう始まっています。グランツーリスモとのコラボを筆頭に、全国各地のイベントへの参加など、BBSを新たに知っていただくような取り組みを含めて、ユーザーとのコミュニケーションを深めていきたい。同時に新開発も着々と進めています。製品開発はすぐに公開できる類ではありませんが、少なくとも今後1~2年の間に、“何か変わったBBS”を感じていただけるのではないかと思っています」

BBSは長きにわたって最高峰にいた。誰もが皆、絶対的王者であるBBSを前にして、正攻法でその高い山を越えようとしたか、あるいはそれとは異なる自分たちの道を探してきた。定番がいるからこそ、個性が生まれていく。それがアフターホイールにおける、ひとつの歴史だった。

絶対的王者に挑むことが難しいのは当然だ。しかしそれと同時に、王者自身たるBBSも安泰ではいられなかった。少しでも油断すれば、一瞬で状況が変化してしまう現代を生き抜くために、BBSは己のブランディングに、そしてモノづくりにメスを入れるのだ。それは決して過去を否定するものではなければ、歴史と伝統に反旗をひるがえすものでもない。むしろ、その歴史と伝統を誰よりも大事にし、それを後世に伝え、自身がずっと発展したいと願うからこそ、BBSは生まれ変わらなければならない、と判断したのだと思う。

20世紀、我々はあのキラリと輝くクロススポークに憧れた。はるか遠い異国の地で走るレーシングカーに恋い焦がれ、街で見かけるその表情に目を奪われた。その当時の存在感を、そして問答無用の格好良さを、BBSは今あらためて訴えようとしている。それは表層的なデザインや、アプローチを変えるだけのリ・ブランディングではない。「世界最高峰の技術を内包した製品であり、なにより人々にとって“憧れの存在”であること」を変えないためのリ・ブランディングだ。そう思い至り、ふたたび褌を締めてかかるBBSは、これから我々にいったいどんな憧れを抱かせてくれるのだろうか。

BBSは「変わらないためには、変わり続ける必要がある」と課し、自らで第2章の幕を開けた。

 

 

BBSジャパン株式会社 執行役員
ブランドマネジメント責任者
田中康博 氏
商品企画から広告宣伝、広報などあらゆる業務でBBSジャパンを支える。特に自社製品の魅力を次世代へと訴える活動には力を注ぎ、BBSのリ・ブランディングを引っ張る。

Part1 >>https://es4-mag.com/archives/1674

 

 

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掲載:eS4 No.94 2021年9月8日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

 

CALL>>BBS JAPAN(BBSジャパン) TEL:03-6402-4090 https://bbs-japan.co.jp 

PHOTO>>NINA NAKAJIMA(中島仁菜)
TEXT>>DAICHI NAKAMIGAWA(中三川大地)