激辛ホットハッチに宿る、伝統と革新。|BBS FS

 

大型サルーンやSUVだけがメルセデスじゃない。 今、AMG A45 Sが走り好きの間で密かなブームに。 その牽引役として暴れまわるK&Kのマシンの、 キーデバイスがBBS製FSホイールだった。

 

12本フィンに宿るBBSの新世界。

 

まるでレーシングホイールのような端正な姿カタチが、どこか凄みを感じさせる。隣り合うスポークをY字状につなげるクロススポークをアイデンティティーとするBBSにとっては、この12本のフィンタイプというのは少し異例と思えるデザインだ。デビューから5年が経っても、その鮮度がまったく衰えないと感じるのは、スポーツホイールとしてのあるべき姿をBBSが理解しているからだろうか。

FSは19インチのみでP.C.D.も5/112のみ。インセット違いで10種類が用意されるだけの潔いラインナップだ。そのサイズ感や設計思想を鑑みると、できればコンパクト〜ミドル系のスポーツカーに投入してみたい。

メルセデスで言えば、ズバッと決まるのがAMG A45だった。とりわけ過激で刺激的なホットハッチと評価の高いAMG A45S 4マチック+で、その走りを究めようとするのなら、足元は断然FSが似合う。それをいち早く察知して、自ら育て上げるマシンに装着したのが、気鋭のチューナーであるK&Kデザインだった。

もともとハイスペックな2・0ℓターボは、mcチップのECUチューニング(ステージ2)やアクラポヴィッチのエキゾーストシステム(エボリューションライン)、アルマスピードのインテークシステムなどで500psの大台へ。それを扱い切って己が欲するタイムを叩き出すために、サスペンションはKWクラブスポーツでセッティングを出す。しかもブレーキなんてまんまレース仕様である。PFCの380φローターとAPレーシングのレーシングキャリパー、さらにグループ・エムのブレーキラインを組み合わせて、いつでも24時間耐久レースに参戦できるような状態だ。つまりはそのぶんタイヤとホイールにかかる負担が増大するわけで、そのためにK&Kの出した回答が、件のBBS FSと、そこに組み合わせるミシュラン・パイロットスポーツ4S(245/35ZR19)というコラボだった。

BBSはこうしたロードゴーイングカーのサーキットマシンに対して、要求以上の回答を持ってユーザーを満足させる。19インチ前後8・5Jは、このレーシングブレーキシステムを難なく飲み込み、ほどよくローダウンされた出で立ちに対して、タイヤとのマッチングも含めて見事に調和させた。

真骨頂はその走りだろう。まるで足元にホイールが付いていないかのように軽やかに走り、なのにコーナリングで負荷をかければ強烈なグリップ力を発揮する。K&Kが構築したトータルバランスの良さであることに間違いはないが、そこにBBS FSがひと役買っていることもまた事実である。

BBSは今、己の強みを生かして新たなブランディングを構築している最中だという。FSなんて象徴的な存在だ。クロススポーク絶対主義を貫きながら、しかしそこに立ち止まることなく、少しだけ派生させた12本フィンタイプを作った。そこに大いなる価値がある。これはBBSの歴史の中で、大いなる第一歩だ。しかもそれは、もうすでに凄腕チューナーをきっちりと満足させている。FSを選んでBBSを語れる人間こそ、今、最も“分かっている”人なのかもしれない。

メッシュパターンと言われるクロススポークを常とするBBSにしては珍しい12本ストレート(フィンタイプ)を持つ。各スポークはサイドマシニングされて極限まで軽量化されていることがわかる。19インチ、P.C.D.112のみの設定なので適合車種は限られるものの、AMG A45に限らずメルセデスのスポーツモデルにはとてもよく似合う。

今回、BBS FSに組み合わせたのはミシュラン・パイロットスポーツ4S。スポーツ系ラジアルの王道選手は確かにBBSとのマッチングが良い。走りも見た目も文句ないコラボだ。

K&Kデザインはボディワークも抜かりがない。卓越したカーボン成型技術を持つグループ・エムとコラボしたカーボンパーツを製作。この個体には試作品が装着される。

アルマスピードのカーボンインテークに、アクラポヴィッチのエボリューションラインで吸排気を構築。さらにmcチップのECUチューニング(ステージ2)を組み合わせて、純正の421psに対して500ps以上を発揮するパワーユニットへと鍛え上げた。数値性能だけでなく、低回転から怒涛のトルクが背中を押すので、日常からサーキットまで扱いやすい仕様だ。

KWのクラブスポーツや、APレーシングのキャリパー(Pro500R)、PFCの380φローターなど、足まわりやブレーキはまんまサーキットスペック。サーキットに通ってセッティングを詰める日々を送っている。

いつの時代もホットハッチと呼ばれるモデルは存在するが、近年のイチオシはA45S 4マチック+。ハイエンドの世界だけがメルセデスじゃないとホットハッチへと挑んだ意欲作だ。これはその意思を汲み取ったK&Kデザインが、全方位的にモディファイした個体である。

K&K Design Mercedes-AMG A45S 4MATIC+ (2020)

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掲載:Mercedes Stylebook. 2021年8月30日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

問い合わせ/BBSジャパン ☎03-6402-4090 bbs-japan.co.jp

photo_土屋勇人 TSUCHIYA HAYATO
text_中三川大地 NAKAMIGAWA DAICHI