BBSの真実。|STORY_01|0と1の間にある感触。 Part3

先人たちは「アルミニウムは生き物だ」と言って僕らを鍛えてくれた。「アルミがどう動いているのか、アルミが喜ぶような設計・生産をするべきだ」と。それはコンピューターのない時代から一貫して宿っているBBSジャパンの魂だった。

 

いかに技術が進歩しデジタル化しても、
鍛造ホイールは、人間の感触を頼りに、
究極的にアナログを究めて結実させるもの。

 

近年のBBSジャパンでは、自動車メーカーのOEM生産が増えてきた。近年の新型車は総じて大きく重くなり、それを引っ張るパワーユニットは高出力化する一方。EVやハイブリッドカーは、バッテリーを搭載する関係でさらに高重量となる。それを受け止めるタイヤメーカーの技術革新もめざましく、おしなべてハイグリップ化した。その狭間で高速回転するホイールにとっては極めて厳しい条件である。だからこそハイパフォーマンスカーを送り出す世界中の自動車メーカーは、安全・安心かつ高性能を約束する鍛造ホイールを求めて、BBSジャパンのような老舗に行き着く。
先に触れたインフラの拡充は、OEMの増大を見込んだものでもある。1万2000tのプレス機は、大径ホイールを効率よく生産するために欠かせないものとなった。自動車メーカーがぶつけてくる理想像を量産品として結実させる。そうしたOEMでBBSジャパンは大いに鍛えられたと言える。要求性能や品質、コスト、安定供給などの厳しい条件を一歩ずつクリアすることで、BBSジャパンは大きく成長した。
「自動車メーカーからの性能要求もさることながら、デザインや設計思想が我々とは真逆という事例もあって、とても勉強になっています。我々の理想像はあくまでクロススポークであることに変わりはない。しかしそのアプローチから一歩引いて俯瞰したとき、どのような設計手法があるのか。あらゆるデザインや世界観を持つ純正ホイールに携わらせていただいたことも我々の財産です。そしてそれは、未来の自社ブランド製品に必ず役に立つことになります」
2017年の東京オートサロンにBBSジャパンは、ベントレー・ベンテイガを出展した。もちろん、ホイールは純正のままである。BBSジャパンがベントレーのOEMを手がけていることを訴えながらにして、それは同時にベントレーがBBSジャパンにホイール生産を委託していることを誇らしげに認めた証拠でもある。他を見渡せば、ポルシェやBMW、USトヨタ(TRD)など、純正ホイールに堂々と「BBS」と刻印してきた例が後を絶たない。
究極はF1かもしれない。BBSジャパンは1992年よりフェラーリF1チームのパーツサプライヤーとして、彼らの足元を支えてきた。フェラーリに採用されたこと自体がその性能と品質を物語るが、さらにこんな逸話がある。当初、フェラーリから要求されたのは既存品よりも10%以上の軽量化だった。しかしBBSは彼らの要求を大幅に上回る20%もの軽量化に成功した。しかも既存品より強度や剛性を高めながらにして。以来、現在までフェラーリF1チームとは長きにわたるパートナーシップが続き、2000年代からは怒涛の5連勝を果たし、特にM.シューマッハの連勝記録を支えた。その功績が讃えられ、2002年にはフェラーリ革新大賞を受賞した。それは高岡職人たちの努力の結晶が、だれもが認める世界で頂点に立った瞬間だった。
型鍛造製法とクロススポークを武器として世界最高峰に居続けるBBSジャパンだが、その根底には“職人の手触り”という最大の強みがあることを知った。今後、彼らが見据えるものとは何か。次なる半世紀を生き抜こうとするBBSジャパンの姿を、本誌はこれからも追っていきたい。プレス機が身体にずしんと響く、うなりをあげ、熟練工が腕をふるうあの姿が、未来永劫、続いていくことを願って。

 

鍛造および切削、表面処理工程を経て塗装工程に入る前に、人間の手で一本ずつ中間仕上げをする。表面の凹凸やバリを取る繊細な作業現場で、大勢の女性職人が活躍している。

 

BBSジャパンの高岡本社兼製造工場で型鍛造からスピニング、切削などの機械加工が行われる。その後、新設された四日市工場に送られて塗装、仕上げ、組み付け(マルチピースの場合)、出荷検査をして世界中へと出荷される。

 

鍛造製法の要となるのは型の設計と維持だ。強大な圧力がかかる型は、頻繁に職人の手によるメンテナンスが実施される。次なる設計開発のヒントが潜むなど重要な工程となる。

Part1 >> https://es4-mag.com/archives/1296
Part2 >> https://es4-mag.com/archives/1364

 

CALL>>BBS JAPAN(BBSジャパン) TEL:03-6402-4090 https://bbs-japan.co.jp
PHOTO>>NINA NAKAJIMA(中島仁菜)
TEXT>>DAICHI NAKAMIGAWA(中三川大地)