BBSの真実。|BBS STORY_01|0と1の間にある感触。 Part2

先人たちは「アルミニウムは生き物だ」と言って僕らを鍛えてくれた。「アルミがどう動いているのか、アルミが喜ぶような設計・生産をするべきだ」と。それはコンピューターのない時代から一貫して宿っているBBSジャパンの魂だった。

 

たとえば1万2000tでプレスするとして、
じんわり優しく押すのか、 叩くように押すのかで、
まったく結果が違う。

 

現在のBBSジャパン株式会社となった今も、モノづくりにかける気持ちは変わらない。ブランドの発祥はドイツだったが、現在、BBSの鍛造ホイールに関してはすべてBBSジャパンが設計・生産している。ドイツに本拠を置くBBSジャーマニーは鋳造ホイールメーカーであり、同じくドイツでレーシングホイールを供給するBBSモータースポーツもまた、今ではBBSジャパンの100%子会社となった。
「うちの現場は凄い。コンピューター設計や解析、あるいは最新鋭の工作機械だけが偉いのではなくて、製造ラインにいる作業者の知識と経験が欠かせない。人間って繊細な生き物で、たとえコンピューターが導き出した最適値があっても、職人たちはその0と1にある微妙な差を指先の感触で感じ取っているんです。特に型の設計においては、その微妙な違和感を捉えてダメ出しして、エンジニアに戻してくれる。その“職人の手触り”は、BBSホイールにとって必要不可欠であり、もちろん会社としての財産でもあると考えます」
それが冒頭の「アルミニウムは生き物だ」という言葉につながる。ホイールに限らず我々が工業製品を語るとき、1万2000tの圧力とか、フルオートメーションだとか、わかりやすいスペックだけを崇拝しがちだ。だが、例えば同じ1万2000tでプレスするとしても、じんわりと優しく押し付けるのか、叩くような衝撃を加えるのかによって、結果はまったく違うものとなる。「アルミになった気持ちで設計をしなければならない。コンピューター解析だけでは、机上の空論でしかない」のだという。
設計開発のみならず生産においてもBBSは、手触りを大切にする。鍛造から機械加工を経たのちの中間仕上げでは、職人が1本ずつホイールを手に取り、目と感触で丁寧に状態を見極め研磨していく。塗装後の出荷検査もまた然り。いかに工場がオートメーション化しても、最終判断は人間の手に委ねられている。いかに大規模かつ効率的な工場になっても、その出来栄えを左右する最後の決め手は、その先にある“職人の手触り”だということを象徴する生産体制だ。そうした意味で鍛造ホイールとは、いかに大規模かつ最新鋭の工作機械をコンピューターが制御するような時代になっても、究極的にアナログを究めて結実させる製品ではないかと思う。
「とある製品が企画され、デザイン案が提示されると、製品自体の理想像(設計)を、ちゃんと工場インフラに落とし込んで、継続的かつ安定的な生産ができるかを常に考えます。それは自社製品でもOEMでも同じこと。我々は決して、オンリーワンのショーモデルをつくっているわけではない。デザイン案が提示されて、製品設計が入り、それに基づいて数値的な目標―強度とか剛性、軽量性などを検討します。そのうえで生産性ですね。果たしてこの造形を型鍛造製法で、現実的な生産計画が立てられるのか。このあたりは部署を超えて、何度も何度もエンジニアや現場担当者と議論を交わします。例えばそれが極端に攻めた造形だったとして、“こんなカタチはできない”と突き返すのは簡単です。でも、それだと我々に進歩はない。デザイナーや商品企画の理想像、求められる生産数、コスト、そして一番大事な性能面などを踏まえながら、どうやって型鍛造で実現するか。そこに切削加工も加えるのか。あらゆる角度から実現に向けての道筋を探ります」

 

現在、BBS高岡工場は鍛造工程のため複数のプレス機が稼働する。筆頭は1万2000tプレス機。20インチを超える大径ホイールを鍛造するために必要なインフラだという。

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