Roncraft 991 GT3 RS × MSS Track Fully Adjustable Kit|究極のスポーツカーの新たな一面が見えた。

 

 

MSSのスプリングキットといえば、車高調整ができるローダウンスプリングとして人気を博し、そのシェアは急速に拡大中だ。今回は車高調整機能付きサスペンションを装備する991 GT3 RSをターゲットに、純正スプリングとMSSのスプリングキットとを乗り比べて、その実力を試してみた。

究極のスポーツカーの新たな一面が見えた。

 

イギリスのサスペンションメーカー「MSS」は、純正のダンパーを残しつつ、車高が調整できるアジャスター付きのスプリングを開発・販売している。なんと今回、ポルシェ 911 GT3 RS用の「MSS Track Fully Adjustable Kit」を日本で初めて装着すると聞いて、神奈川県横須賀市にある「ロンクラフト」を訪れた。

MSSには、「Sports(スポーツ)」「Track(トラック)」、そしてSUV専用の「Urban(アーバン)」があり、今回はその中の「Track」。「Urban」と「Sports」が、主に街乗り用なのに対して、「Track」は、サーキットなどでもしっかり走れるように開発されたという。今回は純粋にスプリング交換による乗り味を比べるため、はじめに純正スプリングでローダウンしたGT3 RSに試乗した。まるでレーシングカーそのもののように、暴力的なまでのパワーとボディの硬質さが伝わってくる。「メカニカルな部分がすべて剥き出しになっているのでは?」と思うほど、走る以外の部品は削ぎ落とされており、乗り心地も硬い。といっても、身体がガタガタと揺すられ続けるわけではなく、振動は一度で収まるので、街中でも思ったよりすんなりと運転できた。「これほど洗練されたクルマなのだから、バネひとつ変えただけで、GT3 RSらしいバランスが崩れてしまのでは……」と思ってしまう。

続いて、MSSに付け替え、純正スプリングでローダウンしたときと同程度の車高にセットしたGT3 RSを見てみると、低く構えたスタイルはそのままに、MSSのオレンジのスプリングがボディカラーによく映える。見た目は完璧なので、次に気になるのは、その乗り味。“激硬”な乗り心地を想像していたものの、走り出すと思いの外さらりとした感触に驚いた。道路の細かな凹凸の感触の角が丸まって、先ほどよりも硬さを感じない。MSSは3種類のスプリングが組み合わされているが、その中でも柔らかめのスプリングが細かな当たりを和らげてくれているようだ。一方でマンホールなどの大きめの段差では、足回りが強く踏ん張る感覚があって、純正より硬く感じられた。日常域で使うには、少々硬いかもしれないが、サーキットなどでコーナリングするときには、ロール量が抑えられて、よりキビキビと走れるはず。また、MSSは、純正の電子制御ダンパーがそのまま使用できるので、走行シーンによって足回りの硬さも変えられるところも◎。今回は、公道での試乗だったので、サーキットなど限界域の走行性能までは分からなかったが、足回りが激しく動くシーンでもしっかりとボディを支えている感覚があったので、スポーツ走行でも楽しめそうだと感じた。

GT3 RSのような高性能スポーツカーの足回りを変えるのは、少し勇気がいると思っていたが、MSSなら見た目のかっこよさだけではなく、純正のダンパーも生かせるし、さらに走行性能もしっかり担保される。これなら究極のスポーツカーの新たな一面を楽しむという意味でも、MSSはおすすめできるチューニングだと感じた。

見るからに低く構えたシルエットからわかるように、スプリング、タイヤとも硬質。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツカップ2で、フロントが265/35ZR20、リアが325/30ZR21。ホイールはノーマル。純正サスペンションに車高調整機能がついており、ノーマルの段階で車高はすでに低くセットしてあった。

MSSのスプリングキットに換装後も車高自体はほとんど変わらない。本来ならMSSはスプリングと車高調整用アジャスターのセットだが、GT3RSでは純正で車高調整機能があるため、スプリングのみを交換する。なお、GT3RS用はそのキャラクターから、「Track」のみの設定となる。フロントは2種類のスプリングを、リアは1種類のスプリングを使用するトリプルレート機構によって、バンプの大きさに関わらず乗り味を確保できる。

純正スプリングのままローダウンすると、スプリングが遊んでしまうのだという。スプリングの遊びは走行性能へ悪影響を与える。そこで中嶋サンは、MSSがフロントの場合、2種類のスプリングを使うことで純正よりも全長が長くなることに目をつけたのだ。

電子制御ショックアブソーバーのPASMはノーマルとスポーツの2種類のダンピングモードを切り替えられる。MSSのスプリングキットの場合、ショックは純正のままなので、当然この機能はそのまま使える。

スプリングの換装、セットアップはロンクラフトの中嶋サンが行った。「さすがGT3RS、純正サスペンションは相当優秀です。それだけにMSSを組んでどう変わるのか、本当に楽しみです」。

テスト当日は伊藤サン(左)、ロンクラフト中嶋サンのほか、MSSジャパンの木内代表(右)も駆けつけ、純正とMSSそれぞれを試乗していた。セットアップの際、本国スタッフに連絡をとり、細かなアドバイスを入手するなど、メーカーとインポーターとの風通しの良さをうかがい知ることができた。「ショックアブソーバーの機能がそのまま使えるのはもちろんですが、トリプルレートによる乗り味もMSSの特色です。ぜひ多くの人に体感して欲しいですね」と木内サンは語ってくれた。

Roncraft
神奈川県横須賀市大矢部2-7-10
営業時間:10:00〜20:00
定休日:不定休

TESTER>>伊藤梓
グラフィックデザイナーからカーグラフィックの編集記者へと転身。現在では独立して自動車評論家として活躍している。マツダ・ロードスターでパーティレースに参戦経験も。ストリート、サーキット問わず、スポーツカーのドライビングが大好き♪ @AzusaIto2

eS4 No.93

 

価格:1400円
お求めは全国の書店、Amazonにて!
掲載:eS4 No.93 2021年6月10日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

<問い合わせ>
Roncraft(ロンクラフト) TEL:046-876-8582 http://ron-craft.com
MSS JAPAN(MSSジャパン) TEL:045-482-6349  https://mss-japan.shop-pro.jp

PHOTO>>KEIGO YAMAMOTO(山本佳吾)
TEXT>>AZUSA ITO(伊藤 梓)