優しいがイチバン。|RENAULT CAPTUR

 

巷に増殖する豪華絢爛かつ熱血硬派系なSUVには心を奪われつつも、 終わりの見えない競争社会で生き抜くための鎧のような存在にも思える。 その魅力を充分に理解したうえでキャプチャーに乗ったら、 SUVの魅力はそれだけじゃないんだと、優しく強く訴えかけてきた。

優しいがイチバン。

 

それは何のためだったのだろう。だれもが仕事、趣味、自分、そして家族や友人の小さな幸せのために生きていくはずだった。なのにいつの間にか他人の目に怯え、刻一刻と変化する評価を恐れ、まるで鎧をまとうようにSUVへと手を出している。

いくら鎧をまとっていても、自分は自分でしかない。このプレッシャーにいつまで耐えるつもりなのか。先の見えない閉塞感に苛まれているときに、心の奥底を撃ち抜くように颯爽と走り抜ける1台のクルマが、一瞬にして僕の心を虜にした。それは決して、ヒエラルキーや出力競争や価格勝負などには口を出さなかった。なのにその存在感は、街のどこにいようとも、決してかき消されることがない。自分は自分以外の何者でもないと訴えながら。  ルノー・キャプチャーは2代目になって、もはや欧州コンパクトSUV勢のリーダー的存在になった。「2020年、欧州では販売台数1位のSUV」がその象徴だ。その数、実に18万台強。ベースとなるルーテシアと合計すると46万台にもなる。

フランスを筆頭に欧州ではメジャーブランドであり、販売網がガチっと確立されているという要因だけじゃない。売れるだけの魅力は、確かにあった。もちろん、出力性能やゴージャスな仕立てや、あるいはバリューフォーマネーといったドライな感情を持ち込んだら、敵わないお相手はゴマンといる。そもそもSUVを謳っておきながらFFしか用意がないことに、鬼の首を取ったように否定する旧来の自動車好きだって後を絶たない。でも、どこか人に寄り添ってくれるような優しい雰囲気こそ、キャプチャーの魅力だと思う。いつ何時も平常心でいられる移動空間って、コロナ禍で先行き不透明のこの世の中、人々が最も欲する性能なのかもしれない。

今回、共に過ごしたキャプチャーはインテンスというグレードだった。ボディカラーにオランジュアタカマMを選んだ場合に限り、ファブリックのシートサイドやダッシュボードのソフトパッド部分がオレンジ色になる。トップグレードのインテンス テックパックにあるレザーシートも捨てがたいけれど、他の装備は大差ないし、キャプチャーの雰囲気を考えるとベストなコーディネートだと思う。

内外装のデザインは、いかにもオシャレな雰囲気で、接するほどに使い勝手の良さを感じる。スマートコクピットと呼ばれる操作系まわりは、SUVっぽい視界の広さがあって気持ちいい。とりわけ派手でもないし、高級素材を駆使しているわけでもないけれど、トコトン丁寧に作っているようだ。走らせればこれが1.3ℓターボと思えないほど豊かなトルクで押し出しながら、滑らかに速度を乗せていく。7速DCTとの相性も抜群で、いつ何時でも必要にして充分な動力性能を発揮する。まろやかに路面をいなしながら、速度を増すにつれてフラットライド感が増すのは、いかにもルノーらしかった。

と、キャプチャーはきわめて真面目に作られている。なによりこの移動空間は、いつも人間が主役であるべきだと感じさせてくれる。クルマが圧倒的主役になりそうな熱血硬派系SUVへの憧れを捨てないまでも、キャプチャーと一緒に過ごす自然体のライフスタイルには惹かれる。これなら隣にウルスやGクラスが並んでも、胸を張ってキャプチャーだと自慢できそうだ。でも、自慢したくなるってことは、やっぱり、鎧をまとって背伸びをする俗っぽい概念から逃れられていないのか。でも背伸びは成長のエネルギーでもあるからして。いったい僕はどうすべきか、という結論はまだ得られていない。

気負わず背伸びせず、等身大の相棒としてキャプチャーは最高の存在。いかにもフランスっぽいオシャレさを漂わせながら、使い勝手も抜群だ。2020年に欧州で一番売れたSUVだったという理由は、実際に乗ってたくさんの時間を共に過ごしてこそ明確に伝わった。

RENAULT CAPTUR INTENSE
全長×全幅×全高 4230×1795×1590mm
ホイールベース 2640mm
車両重量 1310kg
エンジン 直列4気筒ターボ
総排気量 1333cc
最高出力 113kW(154ps)/5500rpm
最大トルク 270Nm(27.5kgf・m)/1800rpm
トランスミッション 7速EDC(DCT)
駆動方式 FF
サスペンション F:マクファーソンストラット R:トーションビーム
ブレーキ F:ベンチレーテッドディスク R:ドラム
タイヤサイズ F&R:215/55R18
車両本体価格 299万円~

 

中三川大地。ポエムやらコラムやらインプレやら評論やらを織り交 ぜた独特の世界観でカスタムカーから新車まで幅広く執筆する。

 

 

 

 

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掲載:eS4 No.92 2021年4月9日発売(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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PHOTO>>KEN SHIRATANI(白谷 賢)

TEXT>>DAICHI NAKAMIGAWA(中三川大地)